GSD Japan Trek 2019 その1

年始には学校の冬休み期間を利用したHarvard GSD Japan Trekを行った。GSDの冬休み期間は12月末から1月末の1ヶ月間あり、1月の前半はJ-termと呼ばれていて、学生はこの期間に2週間の授業を取ることができたり、各学生団体が主催するTrekに参加したりして、休み期間を有意義に過ごすことができる。

Japan Trekもそのうちの一つで、GSDに所属する日本人有志で構成するJapan GSDによって主催されている。他にはChinaGSDのやる中国、TaiwanGSDのやる台湾に行くものもある。学生にとってTrekに参加することのメリットは、個人旅行では行けないような場所や人物を訪問できたり、現地の企業や学生と交流できたりすることだ。

昨年の東京開催に続いて、今年は京都・大阪にてTrekを主催した。Japan Trekのコンセプトは日本の文化にどっぷりと浸かってもらうということだ。日本の伝統庭園から現代建築まで、それを実際にデザインした人に説明してもらうことで、普段では得られない体験ができる。また、外国人だけだと結局観光客向けの場所でしか食事ができないところが、日本人と行くともっと正統派の美味しいものが食べられるというのもポイントだ。

今回は平等院鳳凰堂、無鄰菴、桂離宮、苔寺、聴竹居、大山崎美術館などの建築や庭園を巡った。全ての場所はトップ・オブ・ザ・トップのクオリティである。特に、平等院はそこの住職であり、GSD卒業のランドスケープ・アーキテクトである宮城俊作先生に、無鄰庵はそこを管理する170年以上続く庭師の会社である植彌加藤造園の加藤社長に直接説明を頂いた。また、世界的に有名な建築家の安藤忠雄氏、平田晃久氏、気鋭の若手の関祐介氏にレクチャーを頂いたことはかけがえのない財産であった。

やはり、デザイナー自身に提案を説明してもらうことほどインスピレーションを受けるものはない。ただ建築を実際に行くのでは、どうしてもその作品から読み取れることしか分からないのだが、デザイナー自身から説明してもらうことで、その人の描いているより大きなビジョンであるとか、そういうパワーがより深く伝わってくるのだ。

また、今までずっと行きたかった桂離宮に今回は行くことができたのだ。今まで京都の有名な伝統庭園といったものは何箇所も訪れて来たのだが、桂離宮は皇室のものということもあり、庭の情景としての完成度もそうであるし、手入れの完璧さというものがレベルがあまりにも違った。ここまで極めなければいけないのかというぐらいの異常な密度があり、その迫力には目を見張るものがある。

このような経験から、参加者が得たインスピレーションというものは非常に内容の濃いものだと思う。そのインスピレーションをどういう形でアウトプットできるかという点が、最終の2日間のワークショップにつながる。

GSD World - ハーバード大学建築・都市デザイン留学記

建築と都市デザインをハーバード大学デザイン大学院(GSD)で勉強する川島宏起のブログです。

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