構造最適化の世界

今学期はGSDで2人いるフルタイムの日本人の先生のうち、MDesテクノロジーのエリアヘッドである貝島佐和子先生のクラスを選択している。貝島先生は慶応・MITの建築出身で、ザハやヘザウィックの建築を手掛けるヨーロッパの超有名構造設計事務所のAKTを経て、現在はGSDでテクノロジー系のクラスを教えている方だ。日本の建築関係者なら誰もが気になると思うが笑、アトリエ・ワンの貝島先生とは遠い親戚とのことだ。

授業の内容はライノセラスを使った構造のFEM(Finite Element Model)解析だ。貝島先生がAKT所属時に事務所で用いた構造設計プログラムを、RhinoのGrasshopperのプラットフォームに移植したMillipede(https://www.grasshopper3d.com/group/millipede)を用いて授業は進む。

自分にとって構造設計の世界は、建築学科にいた時の構造計算の授業や、大学院試験での勉強、一級建築士試験の勉強と、付き合いは長いが専門ではないため肌感覚として良くわかっていない世界だ。新しいことを基礎から学べるのは学生の時ぐらいなので、迷いなく選択することにした。

佐和子先生の実績は凄くて、ヘザウィックの衝撃作である上海の英国館の構造設計を手掛けているし、前職のシンガポール大では3Dプリントした日本伝統の継手を接合部に用いた透明なパビリオン(http://www.passage-projects.com/project/evolving-joinery-pavilion)など作っている。

授業の後半で思い知ることになるが、佐和子先生のように材料・構造的にクリエイティブなことをしようとすると、プロジェクトの難易度は飛躍的に跳ね上がる。近代建築を形作っているスタンダードな材料・構造というのが如何に偉大か。

構造最適化というと何を思い浮かべるだろうか?自分が最初に思いつくのは磯崎新によるQatar National Convention Centreだ。このプロジェクトで巨大なキャノピーを支えるための樹形の構造体は、コンピューターが自動生成をしている。

こういうことの基礎を授業で学んでいく。単純な形状であるミースのクラウンホールの屋根がどのくらいたわむのかの検証したり、椅子のボリュームを設定してそこから足や背もたれの形状を自動生成させたり、とにかく超楽しい。

佐和子先生が授業の最初で強調していた、エンジニアとデザイナーの協働をどうしたら幸せにできるかという点はとても重要だ。前研究室時代にも環境工学という視点でそのコラボレーションをどうしたら良いのかということを死ぬ程考えていた。

入学前は環境工学だけだったものが、GSDの在学を通して自分の武器をどんどん広げられているように思う。それらを将来のデザインにフィードバックしていくのが待ち遠しい。

GSD World - ハーバード大学建築・都市デザイン留学記

建築と都市デザインをハーバード大学デザイン大学院(GSD)で勉強する川島宏起のブログです。

0コメント

  • 1000 / 1000