先日ニューヨークに行った時に、世界的な建築事務所のBIGが竣工させたVIA57という集合住宅を見てきた。建設前にBIGが発表してからずっと気になっていた建物なので、ニューヨークに行った時は必ず見ようと思っていたのだが、なんとクラスメイトのルービンの奥さんがそこに住んでいるということで、中まで見れることになった。
VIA57はマンハッタンの西岸の中央に位置し、ハドソン川に面した建物だ。ロの字型のボリュームをHPシェル状に捻った三角形状の外観が大きな特徴で、ニューヨークの中でも異彩を放っている。
ただ、なぜこれほど特徴的な形状をしているかというと、できるだけ多くの住戸からハドソン川へのビューを確保するためだ。ロの字型の平面を高層化しただけでは、川に向いた住戸とそうでない住戸に分かれてしまう上、高層の中庭空間も気持ちが良いものではない。そこで、ロの字のうちの2辺を極端に低層にして変形たのがBIGのアイディアだ。川へのビューを確保し住戸の価値を上げるとともに、中庭の環境を改善したわけだ。
中に入ってみると、共用部の設備がかなり整っていることに驚かされる。図書室やジムはもちろんのこと、キッチン付きのダイニングルーム、プール、バスケコート、ホームシアター、ゴルフシミュレーター、ポーカールームまである。共用のプールのテラスから眺めるハドソン川の風景は最高だ。
中庭には文字通り素敵なランドスケープで満たされていて、向かい合う住戸同士のプレッシャーを軽減している。中庭の先端にはバーベキューのテラスがあり、そこでもハドソン川の景色を楽しみながら食事をすることができる。
BIGは明快なダイアグラムで建物の形状を説明するのが特徴的な建築事務所だ。これほどまでにダイアグラム的な戦略が成功した建物もないだろう。ハドソン川を眺めるテラスは、自然と特別なつながりのある空間で、建築というものの力と創造性を強く感じた。運良く訪問できた貴重な体験に感謝するとともに、ここで持った思いや感動を未来につなげよう。
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