英語の思考のレベル

こちらに来て3か月が経とうとしている。英語のスキルは徐々に向上しているが、日本で使っていた英語のレベルと、現地の大学院で本格的に学ぶための英語はレベルがあまりにも違うので、正直ついていくのに必死である。

まずは読むこと。文書化されているものが語彙のレベルが一番高いので、読書の課題をこなす際には辞書が必須だ。漫然と辞書を引くことを繰り返しても成長がないので、調べた単語は単語帳に記録し同義語や例文も併記することで、なるべく頭の中に残るようにしている。すると、少しずつではあるが、普段から使える単語が増えてくる。

次は聞くこと。これだけは自然にスキルが上がることに期待するしかない。授業で話されるような内容の大抵はわかる。ただ、ものすごく早口な人であるとか、なまりが強い人とか、学校で会う人のうち5%ぐらいの人たちの言うことは、半分ぐらいしかわからない。

また英語での皮肉やジョークは、コンテクストがわからないのでほぼ100%わからない笑 なので一応、現地のテレビ番組を見て耳を鍛えるようにしている。この3か月間で徐々に楽しめる割合が増えてきたが、まだ30-40%ぐらいだろうか。バラエティは楽しめるのだが、ドラマやコメディを楽しめるようになるまでは結構厳しい。

最後は話すこと。中学高校の時に教科書のCDに合わせて発音練習を山のようにしていたので、発音は良いとよく言われる。ただ、英語と日本語の構造がかなり違う。頭の中に浮かぶ話しの内容の順番と、英語の構文とのミスマッチが起きたまま、見切り発車で喋り始めてしまうと、英語として文を完結させるのに失敗する。主語に持ってくる単語のチョイスさえ間違わなければ大丈夫なのだが、そのミスを起こさない確率を上げていきたい。

総合的なことで言えば、英語の読む・聞く・話すのスキルが日本語より劣っているので、英語で思考できるレベルが日本語よりかなり低い。作品に対するクリティークも、クラスメイトとの議論も、当然全て英語でなされる。なのでそれを受けて考えることや、説明することが全て英語になる。そうすると、日本語レベルの思考ができないので、自分がするデザインのレベルも落ちている気がする。

建築家の内藤廣の大好きな言葉がある。「日本語という言語のなかでのみ可能な価値観(デザイン)があるはずで、それこそが大事だと思っている。」このおかげで、日本の建築界が世界の中でも特異な立場を形成し続け、尊敬を受けているのは間違いない。

今の自分には、英語で思考をするチャンスがこれほど与えられている。自分の中の思考のチャンネルを増やすことは、確実に自分の深みや厚みを増やすことになるだろう。英語の思考のチャンネルのレベルを日本語のレベルにまで高めることがまず第一歩だ。そして、レベル差の障壁を乗り越え、日本人にしかない価値観というものを、英語でも与えられたら良いのだと思う。

GSD World - ハーバード大学建築・都市デザイン留学記

建築と都市デザインをハーバード大学デザイン大学院(GSD)で勉強する川島宏起のブログです。

0コメント

  • 1000 / 1000