ランドスケープ事務所のスタジオ・オンサイトを主宰し千葉大学の教授でもある三谷先生が、今学期GSDにてスタジオを一つ持っている。秋学期中の期間は全てボストンに滞在しているとのことだ。そのスタジオのサブの先生として、東大建築の教授の千葉先生もいて、1ヶ月ほもの期間ボストンに滞在していた。
三谷先生の発案で、ニューヨーク近郊のニューバーグという街にある、2つのランドスケープのプロジェクトを巡る小旅行をすることになった。GSDの日本人学生の中で運転・同行をする人の募集があり、そこに応募したという流れだ。最終的には、三谷先生、川島とその妻、千葉先生とその彼女という5人で行くことになった。
ニューバーグまでは4時間ぐらいのドライブになるので、7人乗りの車をレンタルした。アメリカのレンタカーの値段はちょっとかわっていて、まずウェブで予約する時は2日間で何ドルとか表示されているのを払う。そして、当日にカウンターで借りる時に保険料とかサービス料とかを払うのだ。結局はウェブで表示されてる額面の2倍ぐらいを払うことになるので、結構驚く。
借りた車はアメ車のドッジで、これがまた巨大だ。運転席に乗り込むと日本のガラパゴス携帯のように異常に機能が充実していて、シートの前後やリクライニングは全部電動、ヘッドライトも自動、ハンドルの至る所にスイッチがたくさんあり、快適性がすごい。
運転は三谷先生と入れ替わりで行い、運転していない時は助手席でナビをしたので、なんだかんだ行き帰りの合計8時間ぐらい隣でお話することになった。その中でとても沢山のことを学ぶことができた。
例えば、北アメリカでは綺麗な芝生の上に木が数本立っているという庭がよく見られる。その理由は2つあって、その1つ目は土地が基本的に氷河に洗い流された岩盤で、その上の土の層が薄くて養分が少ないということ。一方で東京のは土の層が何十メートルもあり肥沃だ。2つ目の理由としては、冬の気候が厳しく、大地が雪に覆われるのでその中で生き抜けるものが限られるということ。東京はそれほど厳しくはない。
この2つの理由から、北アメリカの北東の地方では、植生が限定され、芝生に立木という風景ができるとのことだ。数ヶ月に一回ぐらい芝を刈っていればそれでメンテナンスは十分。日本の温暖な気候かつ肥沃な大地で同じものに憧れて作ると、毎週末雑草を抜いてメンテナンスしないと維持できないのだ。
ランドスケープというものは土地や気候と密接に関係しながらその姿形を変えて行く。建築の根本的な存在意義は、自然から身を守るためのシェルターではある、が、ランドスケープとともに姿を変えていくようなものであるにはどういうアプローチを取れば良いのか、考えさせられた。
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