1年以上前の話になるが、ソウルにあるハンガラムデザイン美術館にて行われたル・コルビュジェ展に行ってきた。これだけ大規模な展覧会が行われるのはアジアでも珍しいのだが、たまたまソウルに行く用事とタイミングがあったので、運が良かった。
ル・コルビュジェというのは20世紀を代表する建築家のうちの1人で、世界で一番参照され続けている建築家、スターアーキテクト中のスターアーキテクトである。現在、世界中のビルのスタンダートとなっているような、モダニズム(装飾を廃し機能性に応じたデザイン)を牽引した人物で、その作品は個人の住宅から都市計画にまで及ぶ。功績があまりに突出しているので、今でも建築の授業では必ず言及されると言っても良い。
展覧会はコルビュジェのドローイング、模型、そしてコルビュジェが自分の作品の広告に使ったムービーに、コルビュジェの小屋の原寸大のモックアップ、そして東大の安藤研究室が作った1/400の模型群で構成されていた。
一番興味深かった、というか初めて見たのが、コルビュジェにやる自作のプロモーションのムービーだ。コルビュジェがメディアを巧みに利用したというのは有名な話であるが、コルビュジェの提案する家の中でどのような精神が育まれるか、どれだけ良い暮らしができるかがアピールされている。
1930年代とかの話なので、媒体としては当然は白黒のムービーになる。コルビジェの建物は白黒でも映える形にデザインされているため、それでも十分に把握することができるし、自然の緑は全て黒いトーンで表現されるため、それとのコントラストも美しい。
また、展覧会で一番感動したのが、東大建築学科の安藤研が2000年に作成したコルビュジェの1/200の住宅模型を総覧できたことだった。このブログで後記するが、ル・コルビュジェの住宅の環境シミュレーションに関する研究を行った際、隅から隅まで見たのが、安藤研が発行したル・コルビュジェの住宅全集であった。
その模型を直に見ることができたのが何よりの収穫だった。その時にプロジェクトを担当した千葉先生によると、コルビュジェのデザインというものは、1/400ぐらいのスケールで初めて、そのデザインのバリエーションや切れ味が一番わかるのだという。
最初の展覧会から15年以上経っても模型はかなり綺麗に保存されていた。現在はル・コルビュジェ財団の所有となっているのだろうが、東大の研究室で行われた出来事が、世界に残るアーカイブになったことにとても感慨深く感じた。
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