ハーバード大学デザイン大学院(GSD)の教育プログラム

ハーバードのデザイン大学院(GSD)のカリキュラムの特徴は、単位数はそれなりで研究室のワークが中心となる日本の大学院と違って、どちらかと言えば日本の大学のように単位を取る授業のみで構成されている。逆に言えば、先生が自分の研究を進めるために学生を使う日本のようなやり方は禁止されていて、純粋な教育機関として存在しているのだ。

一学期に取るべき単位は20単位で、授業をひとつ履修すれば4単位を取得することができる。なので単純計算で一学期あたり5授業取ればそれで十分である。ただし、作業量の多い設計スタジオについては8単位が取得できるので、1スタジオ+3授業というのが一般的なとり方だ。

スタジオというのは、実際に建築なりランドスケープなり、都市スケールのものなりをデザインする課題を与えられる授業で、自分のデザインを図面化、3D化、模型化するものである。いわば、建築設計者やランドスケープアーキテクトとして働き始めた際の、実務に一番近いのがスタジオの作業内容である。そのため、教育の力の入り方も、提出するものの量も段違いだ。

スタジオはコアとオプションの二種類があり、コアは必修、オプションは選択のものである。建築やランドスケープのプログラムの初期は必修であるコアのスタジオでスキルや基礎を磨き、2年目や3年目の選択のオプションスタジオで実力を発揮するという形である。

スタジオ以外の授業は選択の余地がかなり広い。ここではロースクールやビジネススクールの授業もとることができるし、MITの授業もとることができる。ただし、春学期と秋学期で取れる授業の内容も変わってくるため、1年間どのタイミングでどの授業を取るかどうかが重要なポイントだ。

このスタジオと授業の組合わせによって、GSDでの勉強の内容はいかようにもカスタマイズできる。建築関連に集中しようとすればそれで良いし、なるべく建築以外の分野に触手を伸ばそうとするのであれば、そういう選択肢もある。

何より価値が高いのが、どんな授業に行っても先生や学生のレベルがとても高いことである。クラスメイトから刺激を受けながらその分野を極めようとする努力が、GSDの高い教育レベルを支える原動力だ。

GSD World - ハーバード大学建築・都市デザイン留学記

建築と都市デザインをハーバード大学デザイン大学院(GSD)で勉強する川島宏起のブログです。

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