建造物鑑賞について

アメリカに来てからも聞いている大好きなラジオがあるのだが、そこのパーソナリティが建造物鑑賞について語っていた。曰く、「建築が大好きな兄に連れられて、旅行で建造物めぐりをしたのがとてもつまらなく、トラウマになっている」という話だ。なぜ建造物の鑑賞がつまらないかというと、「動いてないものを見たところでつまらない」という単純な理由だ。

建造物鑑賞が趣味の自分としては、このようなことは全く考えたこともなかったので意外だった。もちろん自分は建築が専門なので、普通の人よりも建造物鑑賞がとても好きだ。

今回ボストンに一緒に来てくれている妻も建築・都市デザインが専門なので、アメリカで行く旅行先に関しても、一般の人が行く国立公園巡りのようなものよりも、建築巡りをしたいと言うくらいなので、それに甘えている現状もある。

自分らのような特殊なケースではなく、一般の人たちにとっても建造物鑑賞というものは馴染みが深いものだと思う。巷にある海外旅行のツアーが目的とする観光先は、タージマハルやエッフェル塔など建造物であることが多い。

それでは建造物鑑賞の何が駄目かというのを先のラジオMCの言葉から再確認すると、「ショッピングとか美味しいものを食べたりとか、シュノーケリングをしたりとか、能動的なものの方が好き」とのことである。

確かに、建造物鑑賞に関しても、ツアーガイドと一緒に回った方が面白いことが多い。そのものの裏側のストーリーを知れたり、どういう人がどういう生活をしていたのか知れたりなど、能動的な会話の中から人と建造物の関わり方が分かってくるので楽しい。

一方で、そんなの無くても能動的に建造物と関われるよという人たちもいる。ディテールを見ながらその作られ方に思いを馳せたり、素材に落ちる光の具合がどのように計算されているのかを考えたり、そもそもこの空間が何で気持ち良いのか考えたり。。そんな楽しみ方をするのはオタクの域だろう笑

やはり自分も建築を設計するにしても、その中のアクティビティがどのようなものになるかしっかりと考えなければいけない。それでないと片手落ちの空間になってしまう。そうなってしまうのはとても悲しいのは当然だ。建築以外の分野にちゃんと敏感であり、アンテナを伸ばし続けなければならない。

GSD World - ハーバード大学建築・都市デザイン留学記

建築と都市デザインをハーバード大学デザイン大学院(GSD)で勉強する川島宏起のブログです。

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