万博が都市へ与える影響今学期はずっとフォローしているGSDの教授であるJoan Busquestsのもとで、世界の万博の研究を行った。これは他の5人の学生とともに行っているものであり、過去170年間、40以上の都市にまたがって一個一個研究を積み上げたものである。ワールドカップやオリンピックと同様に、万博は都市にとってとても大きなイベントだ。1970年で開かれた大阪万博が日本の国や国民に与えたインパクトは計り知れないものがある。研究の目的は、万博が都市に与える影響を調査し、希望的には、良いもの、悪いものは何かを結論づけることだ。この研究は2018年の秋から始まったものであるが、自分は2019年の年始から参加した。自分が担当したのは、ロンドン(1851,18...25May2019
MASS MoCAのSol LeWittコレクション出国直前の週末には、娘の弓の友達家族と一緒に、アメリカで最大の現代アート美術館であるMASS MoCAを見に行ってきた。娘の友だちと言ってもまだ生まれて8ヶ月なのだ。同じ病院で2日違いで生まれた韓国人夫妻の女の子がいて、それがきっかけで両親同士仲良くなったわけだ。18May2019
谷口吉郎の雪あかり日記前回の記事で触れた谷口吉郎について、その初期から円熟期への変化のきっかけになった出来事が、在ベルリン日本大使館の監督のための1938-39年の間のベルリン滞在だ。それは1年程度のものであったが、個人的には日本の現代建築史を変える決定的な瞬間だったように思う。この期間に谷口吉郎はベルリンのシンケルの建築に出会う。「シンケルの建築は歴史主義の建築であり、当時興隆していたモダニズムの建築が否定していたものである。しかし、谷口は、過去の建築様式を、それもドイツから遠く離れたギリシャの古代の様式を、模倣したにすぎないはずのシンケルの建築が現代の人々を感動させる高い芸術性や記念性を備えているだけでなく、「ドイツ魂」すら表現し得ていると感じた。そ...13May2019
交差した「日本的なもの」Seng Kuanの教える日本近現代建築史の最終レポートでは、日本の近現代の建築に見る「日本的なもの」をテーマに考察を行った。というのも、ハーバード学生と日本・建築を巡るツアーであるJapan Trekにおいて、GSDの学生から「日建はただインターナショナルだけど、竹中からは日本的なものが感じられて良い」ということを言われたからだ。「日本的なもの」っていうのは一体何なのだろうという疑問、なぜ日本でこんなデザインが生まれたのだろうという疑問は、ハーバードで外国から日本へのまなざしに触れるにつけて日に日に強まっていた。「日本的なもの」のデザインとして一般的に称賛されるのは、ミニマリズム、シンプルさ、畳などのモジュラーシステム、ディテール...11May2019
インターレースするコミュニケーション先述した「機械の目」の授業の最終課題では、お互いの心臓の鼓動を感知してその距離感を反映するSkypeのようなインスタレーションを行った。この授業ではOpenCVという一般的に用いらている画像処理、分析プラグインをProcessingというJava言語のプラットフォームで利用した。自分はJavaのコーディングの経験がなかったし、OpenCVももちろん初めてだったので、一つ一つの課題が大きな挑戦であった。もちろん、コーディングのバックグラウンドがなかったわけではない。大学院時代には建築の環境計測の大量のデータを処理するために、ExcelのVBAをかなり書いていて、それを使って修士論文も書いた。そのため、コーディングの肝というものは理解し...11May2019
レシプロカル・ストラクチャー構造デザイン授業の最終課題ではレシプロカル・ストラクチャーを採用した木造のパビリオンを、チームメイトの3人とともに建設した。一昔前まではフル・スケールのパビリオンというと、10人や20人で行うのが一般的であったが、デジタル設計技術、デジタルファブリケーション技術が発展したことで、男女2人ずつの4人チームでも作れるようになった。とは言え、一授業の最終提出物としてパビリオンを作るのは稀だろう。これが可能になった最大の要因は、クラスの講師である貝島佐和子先生の作ったMillepedeという構造設計用のRhino+Grasshopperプラグインの存在にある。実務の構造設計でも使われているものを、実際に実務をしていた先生の指導を受けて使うの...10May2019