アメリカの授業の文化

2週間前から英語の授業に参加している。というのも、GSDから入学許可が出たのは良かったのだが、応募時に提出したTOEFLの点数が低く、入学前に英語力強化の授業を受けることが必修と通達されたからだ。そのため、本来は8月中旬から行けば良かったものが、1ヶ月半前の6月末の渡米となってしまったのである。

GSD学生対象の英語の授業は、ボストン大学のCELOP(Center for English Language & Orientation Program)という組織が行う。GSDと密に連携を取った内容で、あくまで建築・都市・ランドスケープデザインにフォーカスしながら、アメリカの授業の文化に適応するためのトレーニングをするスタイルだ。授業のクオリティはかなり高い。

TOEFLの点数が低く、アメリカで教育を受けたことがない学生が集まる。自ずと、英語の不得意な国の出身者が多くなる。33人の学生がいる中で、23人が中国人、5人が韓国人、3人がメキシコ人、1人がプエルトリコ人、日本人が1人だ。最近は、GSDに入学する学生のうち、5人に1人が中国人なので、これだけ多いのも当然だろう。

授業の形式は、とてもアメリカ的である。11人ごと、3つの教室に分かれ、1人の先生を半円形に囲み、ひたすら対話とディスカッションをする。<先生>昨日みんなに~の建物を見てきてもらったけど、どう感じた? <生徒A>~でした <先生>なるほど、面白いね。Aの意見について他の人はどう思う? <生徒B>私はちょっと違って~と感じました <先生>そういう視点もあるね。あなたが~と表現した単語は、他の単語で~と言うんだよ。この単語はね...

といった感じで、デザインの話と英語の授業が絡み合いながら進む。ひたすら、会話形式のため、日本でのように受け身になる瞬間がない。宿題の形式も違う。明日の授業で取り扱う内容が宿題として出されるため、ちゃんと取り組まないと当日発言することが厳しい。対話形式の授業にいるのに、一日中黙ったままというのはかなり苦痛だ。もっとも、この授業はアメリカの授業の文化に適合するトレーニングの場なので、絶対何かは発言するよう、先生が優しく促してくれる。

授業の中で、アメリカの授業の文化で重んじられることと、それ以外の国、特にアジアで重んじられることの違いについての説明があった。前者では平等が、後者では役職などのヒエラルキーが重んじられる。前者は直接的な、後者は間接的なコミュニケーションをする。前者では個人が、後者ではグループの和が大事。共同作業についても、前者ではタスクをこなすこと、後者ではグループで仲良くなることから始まる。

なんとも、後者が日本を指しているようで歯がゆい限りである。しかし、こんなアメリカの授業の文化も慣れてしまえば楽しいし、学ぶことがたくさんある。授業中が、一日のうちで一番緊張する状態というのもこれまた新鮮だ。この1ヶ月半で、アメリカの大学院の中でもしっかり独り立ちできるよう、頑張らなければならない。



GSD World - ハーバード大学建築・都市デザイン留学記

建築と都市デザインをハーバード大学デザイン大学院(GSD)で勉強する川島宏起のブログです。

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