読むということ

英語の授業の期間中は、まだ設計スタジオも始まらないので読書の授業が中心である。読書の授業というのは、建築や都市計画に関係のある20Pぐらいの記事を読んで、その内容についてディスカッションをする授業である。こっちの授業では、しっかり予習をするのが基本で、読書であれば通しで2回ぐらい読み、自分なりに要約を作ってから、参加しなければならない。

読む内容は様々だ。建築の倫理について、ハイラインのデザイナーによる都市のランドスケープのあり方、テクノロジーは政治的要素をはらむか、都市の周辺地域の荒廃について、廊下空間が果たした歴史的社会的役割、オムステッドの業績とモーゼスの悪行、インドでなぜ都市計画がうまくいかないのか。

こうやって書き並べてみるとものすごく固いしものすごく難しい感じがする。その通りで、難解な文章が多い。複雑な構文ばかりで、メタファーなどに満ち満ちているので、一回読んだだけでは全然理解できない。英語がネイティブな人でもかなり難しいらしい。留学生にとってはちょっときついものがある。1つの記事を読んで、まとめるという作業には2,3時間かかる上、1日あたり2,3の記事を予習しなければならない時もある。

授業では読書についてのディスカッションを、10人ぐらいで3時間ぐらい続ける。どの段落のどこの部分が重要だと思うか、筆者の意見には賛成か反対か、その理由は何か。というのを延々と続けるのだ。例えば、テクノロジーと政治の関係の記事についてのディカッションでは、家の前にあるどこにでもあるようなスロープが、政治的要素をはらむか否かについて延々と議論をした。

このディスカッションが実は結構面白い。自分があまり理解できていない記事でもクラスメイトが理解していて、その説明を聞くと腑に落ちる時が多い。助け合いながら理解を一緒に深めていくプロセスがなかなか楽しい。また、読む内容も刺激的だ。日本語である情報と、英語である情報は全然違うので、それを学ぶだけで価値観が変わるし、勉強になる。

また、僕は建築学科の中でも理系の部類に属していたので、読書を通してデザインのアプローチを考え直すということを全然してこなかった。アメリカや世界には、本当にたくさんのレベルの高いプロジェクトがあるのだなと実感するばかりだ。

これからもしっかり読むということを続けて、色んな知識を吸収しなければならない。

GSD World - ハーバード大学建築・都市デザイン留学記

建築と都市デザインをハーバード大学デザイン大学院(GSD)で勉強する川島宏起のブログです。

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