落水荘

ミースのファンズワース邸に続き、モダニズムの世界三大巨匠によるもう一つの住宅、世界で最も有名な住宅とも言ったほうが良いかもしれない、フランク・ロイド・ライトによる落水荘を見に行ってきた。

落水荘については日本のTV番組でも何度も取り上げられている。何と言っても自然の滝の上に建つという究極の立地が魅力なのだ。建築を学ぶ人間としては一生に一回は訪問したい場所でもある。

落水荘を見学するには(https://www.fallingwater.org/visit/tours/fallingwater-tours/)のサイトで事前予約が必要だ。今回購入することができたチケットは30ドルのガイドツアー。80ドルの"In-Depth"ツアーでは外観・内観ともに写真撮影が可能なのだが、30ドルのツアーでは内部の写真撮影が禁止。。。聞けば"In-Depth"ツアーはなかなか予約が取れないらしい。

友人の住んでいるピッツバーグから車を1時間半ほど走らせると、落水荘に到着することができた。予約客を収納できる程度の広さの駐車場に車を停め、ショップやカフェが併設されたビジターセンターで予約を確認した。そこでツアー番号を告げられ、所定の時間まで待てばいよいよ訪問となる。

ビジターセンターから10分ほど歩いたところに落水荘はある。とにかく迫力のある滝の音と、その側からオーバーハングする落水荘の存在感に圧倒される。ライトは「有機的な建築」をテーマとしていたのだが、文字通り、滝の横で重なった岩盤のような佇まいだ。

しっかりとモダニズムの造形で、コンクリートやガラスで水平垂直が構成されているはずなのだが、コア部分に貼られた岩や黄色がかった外装仕上げが、現地の土や岩を採用したものなのか、周囲の色の中に見事に溶け込んでいる。

中に入ると、超有名なリビングを目に入る。自然の岩を利用した暖炉周辺と、そこからつながる石張りの床、見上げると水平連続窓と作り付けのソファー、そしてその先に見える緑と滝の風景。その視線誘導のシークエンスが、計算されたものなのか何なのか、見事というしかない。

内部の構造は外観よりも複雑に思える。全ての寝室には専用のバルコニーが備えられ、2,3家族が住めるような家にも思える。作り付けの家具や細かいところまで隅から隅まで目が行き届いるのは、ライトのお家芸とも言えるだろう。

ライトの自邸やユニティ教会などの初期の作品を見ていると、もともとはインテリアが得意な建築家だったのだろうと思えてくる。そのインテリアのセンスが、建築の外観や構成にまで見事に融合されるようになったのが、後期の作品の特徴だ。

ただし、落水荘はそういう言葉で解釈しようとする範疇を飛び越えた圧倒的な魅力がある住宅だ。こういう感動や経験を身に刻み込んで、今後の作品作りに生かしていかなければ。

GSD World - ハーバード大学建築・都市デザイン留学記

建築と都市デザインをハーバード大学デザイン大学院(GSD)で勉強する川島宏起のブログです。

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