浮世絵の展覧会先日ボストン美術館に行ったところ、歌川国重と歌川国貞を対照的に並べた浮世絵の展覧会をやっていた。日本国外最大級の日本美術コレクションを持つ、ボストン美術館ならではの展示である。考えてみれば、浮世絵の展覧会というものを日本で見た経験はほとんどなかった。馬頭広重美術館や墨田葛飾北斎博物館でも浮世絵の展示は見たのだが、どちらも超有名建築家の設計の建物なので、何となく集中しきれてなかったのだろう。絵を見てみると、確固とした様式の中での表現、新しい手法をそこにどう取り入れるかという試みなど、2人の異なるアプローチが印象的だ。どちらも素晴らしいのだが、国貞の方がやや華やかな気がする。また、浮世絵は当時の文化を牽引するメディアだったので、市民の生...26Nov2017
ランドスケープを巡る旅 2旅の最初の目的地はストーム・キング・アートセンターだった。既存の土地の形状を活かした超広大な中に超有名な作家の彫刻が点在している施設だ。Alexander Libermanの作品など、東京では新宿か丸の内の公開空地にどんと置いてあるのを見れるぐらいなのだが、ここではその彫刻にあったスケールの大自然の中で見ることが出来る。すると、アートと周辺環境の対話が明確に見えるのはもちろん、アートと人との関係も都市でのそれより多様になってくる。ランドスケープのスケールというものは、建築とは違う力がある。ぱちぱちと写真を撮っていると、三谷先生から「ランドスケープは逆光で写真を取るのが良いよ」とアドバイスされた。ランドスケープの写真を取る時は自ずとカ...19Nov2017
ランドスケープを巡る旅 1ランドスケープ事務所のスタジオ・オンサイトを主宰し千葉大学の教授でもある三谷先生が、今学期GSDにてスタジオを一つ持っている。秋学期中の期間は全てボストンに滞在しているとのことだ。そのスタジオのサブの先生として、東大建築の教授の千葉先生もいて、1ヶ月ほもの期間ボストンに滞在していた。三谷先生の発案で、ニューヨーク近郊のニューバーグという街にある、2つのランドスケープのプロジェクトを巡る小旅行をすることになった。GSDの日本人学生の中で運転・同行をする人の募集があり、そこに応募したという流れだ。最終的には、三谷先生、川島とその妻、千葉先生とその彼女という5人で行くことになった。ニューバーグまでは4時間ぐらいのドライブになるので、7人乗...12Nov2017
ハイラインというのは言わずと知れたニューヨークにある公園だ。廃線となった高架の上を都市公園として整備したプロジェクトで、建築的にも、都市デザイン的にも、ランドスケープデザイン的にも、世界中で参照され続けているような伝説的なプロジェクトである。そのため、「ニューヨークで働いていて、朝はハイラインでランニングするのが日課だ」なんていうのが建築学生の夢だったりもする。そんなプロジェクトを先日訪れることができた。端から端まで体験したかったので、北端の34 st. 11-12 ave. に位置するスタート地点から歩き始めた。ハイラインが周辺の土地の価値を高めたおかげで、高層ビルの開発も周りで進行している。歩いていってもハイライン自体のデザインが場所によ...08Nov2017
評価の平等性今学期のスタジオもファイナルが見えてきた。日々の作業量は増えていくばかりだが、何とか生き残れるように這いつくばりながら過ごしている。こちらで設計の授業を受けていて印象的なのは、評価の平等性だ。自分がいた日本の大学の建築学科では、基本的には先生の好みに応じてコメントをもらえる案はもらえて、無視されるものは無視されるという評価の仕方だった。そのため、設計の授業を理不尽に感じて、設計を続けることを辞めてしまう学生が多数おり、卒業後も続ける学生は全体の1/6にも満たない。一方で、GSDの設計の授業では全ての学生に必ずコメントがされ、評価の平等性を強く感じる。MAUDに所属する学生は実務経験があるか5年制の建築学科を卒業した上で、それでもなお...07Nov2017