GSDな自分 Final6月中旬の一時帰国時に、GSDの卒業生の集まりが日本で行われた。何と、モーセン学長が日本を訪問するので、GSDの費用持ちでパーティを行うということである。GSDの日本卒業生代表であるJapan Trekでお世話になった宮城先生から、その縁で先輩の上田さんと自分に声がかかり、若い人の人集めを中心に手伝ってくれないかという話があった。自分は卒業して会社に働くまで、3週間でボストン→トロント→韓国→東京→韓国→ボストン→パリ→ボストン→ニューヨーク→ボストン→日本という世界ツアー状態だったのだが笑、運よく自分もスケジュールの都合がついたので参加することになった。やはりモーセン学長が来るということもあって、パーティには槇文彦さんを初め、著名...29Jun2019
ハーバード大学の卒業式5月30日にハーバード大学の卒業式が行われた。アメリカの卒業式は日本よりも家族イベントという側面が強く、祝祭的なハレの日という感じだ。アメリカの中でもハーバード大学の卒業式は特に豪華だということだ。卒業式のスケジュールも内容がたくさんあるし、それぞれが時間がかかるので2日間に渡っている。初日は「ClassDay」と呼ばれていて、朝からクラス全員の集合写真撮影、翌日の卒業証書授与式の動き方のリハーサルがある。そして午後には卒業生対象の各賞の授与式が行われる。賞にも色々あって建築・ランドスケープ・都市計画など学科別にあったりするので、30ぐらいあるイメージだ。以前に獲得したPlimpton Prizeもこの場で再度表彰されたため、GSD...14Jun2019
トランプ政権の影今年の夏、本当は卒業後に3ヶ月建築事務所でインターンをする予定だったのだが、現政権の影響で結局断念するという事態が起きた。一体どういうこと?というのが多くの人の反応だろうが、ストーリーはこうだ。まず、今年の1月に大統領がメキシコとの国境に壁を建設するための予算の確保を主張して事態が紛糾し、1ヶ月公共機関が閉鎖するという事態が起きた。その遅れをカバーするため、公共機関の労働力が再編成された。人員が削減されたところが、「アメリカ・ファースト」のトランプ政権が重きを置いていないところ、例えば外国人向けの労働ビザを発行する労働局だ。労働局の人員削減の影響で、ビザ申請から認可までの期間が大変伸びることになったのだ。学生ビザでアメリカに来ていた...07Jun2019
フィリップ・エクゼター・ライブラリーアメリカでまわったルイス・カーンによる建築のうち、最後に訪問したのが、このフィリップ・エクゼター・ライブラリーだった。これはアメリカ有数の名門私立高校であるフィリップ・エクゼター高校の図書館で、ボストンから車で1時間ほど北に走った位置にある。この高校は元アメリカ大統領のブッシュ親子も通ったほどで、年間の授業料はハーバード大学ぐらいの高価さだ。この図書館は公共のものではなく私立学校のものなので、スケジュールが通常月曜から土曜までオープンとは言いつつも、色々な理由で不定期に閉館してしまう。一回目は、GSDの春休み期間中にそこに訪問しようとしたら、その高校も春休みで図書館も閉まっていて、中に入ることはできなかった。一応、ライブラリー側も開...07Jun2019
自動運転車(Autonomous Vehicle)の作る未来都市最近はテクノロジー系のメディアでは自動運転が常に話題だ。どこのメーカーが作ったものが実装されている、どこのメーカーが作ったものが事故を起こしたとか、そのようなものが多い。そして、アメリカの都市デザインの分野では、自動運転車がどのように都市空間を変えるかが真剣に議論されている。なぜなら、交通手段の変化が過去に都市空間を変えてきた歴史があるからだ。馬車や水運から、鉄道と自動車へと変遷していた。特に自動車は街中にあふれ、高速道路の建設とともに、都市空間から土地を歩行者から奪い取ってしまった。それなら自動運転車が本当に普及したらどうなるのか?ハーバードGSDの准教授に就任したばかりのAndres Sevtsukのレクチャーがとても的を得てい...01Jun2019
万博が都市へ与える影響今学期はずっとフォローしているGSDの教授であるJoan Busquestsのもとで、世界の万博の研究を行った。これは他の5人の学生とともに行っているものであり、過去170年間、40以上の都市にまたがって一個一個研究を積み上げたものである。ワールドカップやオリンピックと同様に、万博は都市にとってとても大きなイベントだ。1970年で開かれた大阪万博が日本の国や国民に与えたインパクトは計り知れないものがある。研究の目的は、万博が都市に与える影響を調査し、希望的には、良いもの、悪いものは何かを結論づけることだ。この研究は2018年の秋から始まったものであるが、自分は2019年の年始から参加した。自分が担当したのは、ロンドン(1851,18...25May2019
MASS MoCAのSol LeWittコレクション出国直前の週末には、娘の弓の友達家族と一緒に、アメリカで最大の現代アート美術館であるMASS MoCAを見に行ってきた。娘の友だちと言ってもまだ生まれて8ヶ月なのだ。同じ病院で2日違いで生まれた韓国人夫妻の女の子がいて、それがきっかけで両親同士仲良くなったわけだ。18May2019
谷口吉郎の雪あかり日記前回の記事で触れた谷口吉郎について、その初期から円熟期への変化のきっかけになった出来事が、在ベルリン日本大使館の監督のための1938-39年の間のベルリン滞在だ。それは1年程度のものであったが、個人的には日本の現代建築史を変える決定的な瞬間だったように思う。この期間に谷口吉郎はベルリンのシンケルの建築に出会う。「シンケルの建築は歴史主義の建築であり、当時興隆していたモダニズムの建築が否定していたものである。しかし、谷口は、過去の建築様式を、それもドイツから遠く離れたギリシャの古代の様式を、模倣したにすぎないはずのシンケルの建築が現代の人々を感動させる高い芸術性や記念性を備えているだけでなく、「ドイツ魂」すら表現し得ていると感じた。そ...13May2019
交差した「日本的なもの」Seng Kuanの教える日本近現代建築史の最終レポートでは、日本の近現代の建築に見る「日本的なもの」をテーマに考察を行った。というのも、ハーバード学生と日本・建築を巡るツアーであるJapan Trekにおいて、GSDの学生から「日建はただインターナショナルだけど、竹中からは日本的なものが感じられて良い」ということを言われたからだ。「日本的なもの」っていうのは一体何なのだろうという疑問、なぜ日本でこんなデザインが生まれたのだろうという疑問は、ハーバードで外国から日本へのまなざしに触れるにつけて日に日に強まっていた。「日本的なもの」のデザインとして一般的に称賛されるのは、ミニマリズム、シンプルさ、畳などのモジュラーシステム、ディテール...11May2019
インターレースするコミュニケーション先述した「機械の目」の授業の最終課題では、お互いの心臓の鼓動を感知してその距離感を反映するSkypeのようなインスタレーションを行った。この授業ではOpenCVという一般的に用いらている画像処理、分析プラグインをProcessingというJava言語のプラットフォームで利用した。自分はJavaのコーディングの経験がなかったし、OpenCVももちろん初めてだったので、一つ一つの課題が大きな挑戦であった。もちろん、コーディングのバックグラウンドがなかったわけではない。大学院時代には建築の環境計測の大量のデータを処理するために、ExcelのVBAをかなり書いていて、それを使って修士論文も書いた。そのため、コーディングの肝というものは理解し...11May2019
レシプロカル・ストラクチャー構造デザイン授業の最終課題ではレシプロカル・ストラクチャーを採用した木造のパビリオンを、チームメイトの3人とともに建設した。一昔前まではフル・スケールのパビリオンというと、10人や20人で行うのが一般的であったが、デジタル設計技術、デジタルファブリケーション技術が発展したことで、男女2人ずつの4人チームでも作れるようになった。とは言え、一授業の最終提出物としてパビリオンを作るのは稀だろう。これが可能になった最大の要因は、クラスの講師である貝島佐和子先生の作ったMillepedeという構造設計用のRhino+Grasshopperプラグインの存在にある。実務の構造設計でも使われているものを、実際に実務をしていた先生の指導を受けて使うの...10May2019
Plimpton-Poorvu Design Prize先学期マイアミで提出したプロジェクトを、ハーバードGSD内の賞であるPlimpton-Poorvu Design Prizeにチームメイトのサムとの連名で応募し、見事1位を獲得することができた。(https://www.gsd.harvard.edu/architecture/fellowships-prizes-and-travel-programs/plimpton-poorvu-design-prize/)GSD学内のプロジェクトで、デザイン+不動産開発の視点から見て現実的かつ優秀なものに与えられる賞で、米国のハーバードのような環境でも結果を出すことができたことが何よりも嬉しい。元黒人指定居住区であるマイアミのオーバータウンを...21Apr2019