GSDな自分 4.0GSDへの留学も3つ目の学期が終わり、残すところはあと1学期だけとなった。最終学期はスタジオを選択していないため、代わりに授業を合計5つ取ることで全ての単位を履修することができる。感覚としてあるのは、1学期目にやっと生き抜いたというものから、2学期目の手応えを感じ始めたといのを経て、3学期目はさらに自分の知らない領域に踏み込んでいく挑戦を乗り越えたというものだ。学期の中で特に履修して良かったと感じるのは、自分が知らない分野における学びである。MITメディア・ラボにおけるTangible Interfaceの授業では、世界がまだ発見していない「デザイン」という領域にはとてつもない広がりがある、ということを思い知ったし、GSDでの都市の...26Jan2019
GSD Japan Trek 2019 その2前回記事に引き続きGSD Japan Trek 2019について。最終の2日間には京都大、大阪工業大、京都市立芸大、立命館大の建築・ランドスケープ・都市系の学生および、海外大学進学希望の高校生および、実務経験者を含む一般公募者とGSDの学生のコラボレーションによるワークショップを開催した。19Jan2019
GSD Japan Trek 2019 その1年始には学校の冬休み期間を利用したHarvard GSD Japan Trekを行った。GSDの冬休み期間は12月末から1月末の1ヶ月間あり、1月の前半はJ-termと呼ばれていて、学生はこの期間に2週間の授業を取ることができたり、各学生団体が主催するTrekに参加したりして、休み期間を有意義に過ごすことができる。Japan Trekもそのうちの一つで、GSDに所属する日本人有志で構成するJapan GSDによって主催されている。他にはChinaGSDのやる中国、TaiwanGSDのやる台湾に行くものもある。学生にとってTrekに参加することのメリットは、個人旅行では行けないような場所や人物を訪問できたり、現地の企業や学生と交流でき...12Jan2019
シェアサイクルの普及のゆくえ都市のデータサイエンスの授業の最終課題は、WEB上にある都市のビッグデータを用いて解析し、興味のあるトピックを分析せよというものであった。自分たちのチームにとっても、個人的にも興味があったのが、シェアサイクルについてだ。ボストンにはBlueBikeというシェサイクルシステムがあり、年間1万円程度を払えばそのシステムを自由に使うことができる。BlueBikeは専用の駐輪ドックのあるタイプのシェアサイクルシステムで、使用時には出発場所近くのドックから自転車を取りだし、目的の場所の近くのドックに自転車を返すということをする。これは自分にとってとても便利だ。学校や最寄りの地下鉄の駅、頻繁に行くスーパーなど、生活に直結するものあ全て家から歩い...05Jan2019
マイアミの”都市を紡ぐ” その2前回の記事で説明したプロセスを経て、次の課題は、実際の敷地に対して自分たちのデザインしたものが、どのように活かせるかを考えることだ。自分たちが発見した敷地は、課題の対象であるオーバータウンに東側の、高速鉄道線路沿いの敷地だ。黒人居住区であるオーバータウンは、昔から常に巨大な交通インフラの介入によって街が分断、細分化されるという憂き目に合ってきたが、2018年に開発された高速鉄道BrightLineもその例外ではなく、地表レベルを走る線路によって街のアクセスはさらに悪くなった。特に、線路の東側には都心にアクセスするためのモノレールの始発駅があり、オーバータウンの住人が仕事を得るためには都心へ交通利便性が不可欠なのだが、それからもさらに...29Dec2018
マイアミの”都市を紡ぐ” その1冬学期スタジオ課題の最終提出を12/12に行った。以前の記事(https://hk-gsd.amebaownd.com/posts/5032177)にも書いたように敷地はマイアミで、冬のリゾート期間向けの高級マンションやホテルにばかり投資が集まるその土地に、もっと地元の人に広く開かれた開発戦略、アルタナティブな建築のあり方を提案するという課題であった。建物のプログラムは低所得者層向けのユニットと市場価格のユニットを含む集合住宅である。スタディのプロセスは実際に存在する建築・都市デザインを研究するところから始まった。先生がセレクトした集合住宅1つと、自分らでセレクトするインフラ関係のプロジェクト1つを分析するのが課題で、SANAAによ...22Dec2018
"触れる"インターフェイスGSD2年目の特権として、授業の選択肢の多さがある。プログラムにもよるが、1年目は必修のスタジオや授業を取る必要があるので、選択の可能性があるのが1学期あたり1つぐらいしかないし、必修の授業と取りたい授業の時間が重なってしまえば、選択すらできないのが難点だ。ということで、GSD2年目の秋学期には憧れでもあったMITメディア・ラボの授業を選択することができた。その中にいる大スターの教授、石井裕先生のラボが行うTangible Interface-"触れる"インターフェイスの授業だ。Tangible Interfaceとは何か。今の世の中はiPhoneやVRグラス、PCのスクリーンに代表されるようにグラフィック・インターフェイス(GUI...16Dec2018
縮小する都市のゆくえ今学期は都市計画の歴史と理論を扱う授業を選択した。理系出身の自分としては、こういう完全なる文系の歴史・理論の授業は初めてだったので、挑戦でもあった。都市設計理論の最終レポートにおいては、今まで実現しなかった都市計画案について、なぜ実現しなかったのか論考を行うものだったので、自分は東大大野秀敏教授によるFiberCityを取り上げることとした。FiberCityは人口減少社会の中での都市の縮小をどうデザインするかにフォーカスしたものである。GSDは発展途上国の都市発展のサポートやアイディア出しをすることが多いので、人口・都市の縮小による諸問題は議論されることが極めて少ない。しかし、人口減少社会というのは先進国の中でも身近であり、アメリ...08Dec2018
鉄道網による日本のアーバーニズム以前の世界のメトロの比較(https://hk-gsd.amebaownd.com/posts/3845082)の記事でも触れた内容であるが、日本の鉄道網の凄さについてアメリカで都市デザインを勉強したことで再認識をした。そこで、何が特別なのかを自分なりの視点で説明した記事をハーバードのアーバンデザインのブログに投稿する機会があった。(https://www.ud-id.com/territories/2018/4/1/5qxi64py2pytv620k2r66ww3lcyr1c-7dw96-f35nn-4mzt8-4s92b-hwn7j-etjn5)ここで書いたことを日本語でも書き留めておきたいと思う。ポイントとしては、東京や日本の...02Dec2018
ハーバード大学デザイン大学院(GSD)の教育プログラムハーバードのデザイン大学院(GSD)のカリキュラムの特徴は、単位数はそれなりで研究室のワークが中心となる日本の大学院と違って、どちらかと言えば日本の大学のように単位を取る授業のみで構成されている。逆に言えば、先生が自分の研究を進めるために学生を使う日本のようなやり方は禁止されていて、純粋な教育機関として存在しているのだ。一学期に取るべき単位は20単位で、授業をひとつ履修すれば4単位を取得することができる。なので単純計算で一学期あたり5授業取ればそれで十分である。ただし、作業量の多い設計スタジオについては8単位が取得できるので、1スタジオ+3授業というのが一般的なとり方だ。スタジオというのは、実際に建築なりランドスケープなり、都市スケ...24Nov2018
建造物鑑賞についてアメリカに来てからも聞いている大好きなラジオがあるのだが、そこのパーソナリティが建造物鑑賞について語っていた。曰く、「建築が大好きな兄に連れられて、旅行で建造物めぐりをしたのがとてもつまらなく、トラウマになっている」という話だ。なぜ建造物の鑑賞がつまらないかというと、「動いてないものを見たところでつまらない」という単純な理由だ。建造物鑑賞が趣味の自分としては、このようなことは全く考えたこともなかったので意外だった。もちろん自分は建築が専門なので、普通の人よりも建造物鑑賞がとても好きだ。今回ボストンに一緒に来てくれている妻も建築・都市デザインが専門なので、アメリカで行く旅行先に関しても、一般の人が行く国立公園巡りのようなものよりも、建...18Nov2018
Google Fiの使い方Google Fiというのは、Googleが運営する携帯電話サービスである。現在はアメリカでしか契約できないのだが、GoogleデザインしたSIMカードによって、通話およびデータ通信をするものだ。利点は安いことと、世界中どこでも使えて料金が変わらないこと。帰国した際には日本でも何の不便もなく使えるのが確認できた。Google Fiの特徴は、完全にデータ使用量を元にした料金体系と、大手携帯電話会社の電波のうち強いものから選んで自動で切り替えるという機能である。Google自体が電波の基地局を持っているわけではないのだ。この2つの特徴がゲームチェンジャーとも言える以下のサービスを作っている。まず、Google Fiはアメリカで最安で携帯...10Nov2018