Payetteとアメリカ建築事務所の労働環境6月の下旬からPayette(https://www.payette.com/)という160人規模の建築事務所でインターンをした。ボストンの建築事務所の中では一番給料が高いと言われていて、病院や生物・化学研究所を主に主戦場としている。Payetteが設立されたのは1930年代でその歴史は長く、職種は建築設計、インテリア、ランドスケープ、パース、そして環境設計に分かれている。アメリカでも環境設計(設備設計はやらない)を内作で持っている事務所はとても珍しい。現実的なことを言うと、設計事務所は図面を書くことでお金を稼いでいる。建築、インテリア、ランドスケープ、パースともに、図面を発行する部門だが、環境設計だけはその仕事の特質上、図面を作る...04Aug2018
アメリカで字幕機を使って映画を見るアメリカ赴任中や留学中の人たちに共通することで、「仕事や勉強には支障がないんだけど、映画のセリフが全然聞き取れない…」というのがあるだろう。映画の中に出てくる人は、キャラクター付けを明確にさせるために、声がやたらと特徴的だったり、強い訛りで話したりする。そのため、何言っているのかわからないことが本気で多い。特にSF・アクション映画の場合は専門用語・特殊な言葉が出てくる場合が多く、英語が聞き取れないから分からないのか、単語を知らないから分からないのか混乱してしまう。映画が終わった頃には「まあ日本で見る時に比べて50%ぐらいは楽しめたかな。。」となるのが殆どだ。一方でアメリカのテレビを見る時は、字幕をONにすればバラエティやドラマもかな...22Jul2018
シェイプ・オブ・ウォーター先日に日本に帰国した際、飛行機の中で2018年のアカデミー賞で作品賞・監督賞・美術賞を受賞したギレルモ・デル・トロ監督のシェイプ・オブ・ウォーターを見た。デル・トロ作品は今まで見たことがなかったのだが、監督自身のドローイング(https://gigazine.net/news/20130816-guillermo-del-toro-sketchbook/)がとにかく有名なので期待していた。結果としては映画が始まって開始10分ぐらいで、デル・トロ監督の空間・映像そしてディテールのセンスに圧倒されてしまった。自分は別に映画を作っている人間でもないので、こんな事を考えるだけで奇妙なのだが、この人に一生勝てることはないのだなと感じてしまった...15Jul2018
落水荘ミースのファンズワース邸に続き、モダニズムの世界三大巨匠によるもう一つの住宅、世界で最も有名な住宅とも言ったほうが良いかもしれない、フランク・ロイド・ライトによる落水荘を見に行ってきた。落水荘については日本のTV番組でも何度も取り上げられている。何と言っても自然の滝の上に建つという究極の立地が魅力なのだ。建築を学ぶ人間としては一生に一回は訪問したい場所でもある。落水荘を見学するには(https://www.fallingwater.org/visit/tours/fallingwater-tours/)のサイトで事前予約が必要だ。今回購入することができたチケットは30ドルのガイドツアー。80ドルの"In-Depth"ツアーでは外観・...08Jul2018
共感の美学:ストーリーを活かすアメリカ社会前回に引き続き、共感の美学を貫くアメリカ社会について書きたい。ストーリーを活かすのがうまいという性格が良い方向に転ぶと、とても素晴らしいものにつながる例だ。自分が子供のころからある番組として日本にはSASUKEがある。TBSの筋肉番付という番組から派生した、体力と筋力とバランス、運動神経に自信がある人たちが、アスレチックの超難しい版のような障害を次々にクリアしながらゴールを目指すものである。この番組の人気は日本では下火になってしまったのだが、アメリカにほぼ同じ内容で輸入された「American Ninja Warriors」という番組があり今でも超人気だ。アメリカの番組は基本的にシーズン制なので、1シーズンで10回ぐらいの放送に番組...02Jul2018
共感の美学:ストーリーで価値が決まるアメリカ社会以前に上っ面の美学という記事を書いた(https://hk-gsd.amebaownd.com/posts/3696504)が、最近アメリカにいて強く感じるのが国の中に浸透している「共感の美学」だ。それはテレビを見ているうちに何となく気づいていったことでもある。普段はアメリカの日テレ的な放送局のNBCをよく見ているのだが、その人気ダンスコンペティション番組であるWorld of Danceを見ている時についに言語化ができた。World of DanceはJennifer LopezとNe-YoとDerek Houghという美男美女かつ実績があって有名かつバラエティでもたくさん喋れるという人たちが審査員をやっている。世界中から応募して...23Jun2018
ディア・カンパニーアメリカにいる間に絶対行きたいと思っていたもうひとつの建築、エーロ・サーリネンによるディア・カンパニーを訪れることができた。ミースのファンズワース邸からさらに1時間半ほど西へ、シカゴ市内から行くと2時間半ほど車で走る距離にある。建物の英語の正式名称はJohn Deere World Headquartersである。ディア・カンパニーはアメリカを代表する農耕作業機械の会社であり、サーリネンが設計したのはその本社屋および展示棟だ。展示棟は年中無料で見学できるので建築好きにとってはとても嬉しい。デザインとしては、何から何まで黒く塗装された鉄骨で構成した、鉄骨表現主義を追求したものだ。実は、非常に似た印象の建物として日本の香川県庁舎があり、...17Jun2018
ファンズワース邸世界のモダニズム建築の三大巨匠による三大住宅と呼ばれるものがある。シカゴで建築巡りをしていた時に、そのうちの一つであるミース・ファン・デル・ローエによるファンズワース邸を訪問した。三大住宅を訪問するはこれが初めてだ。シカゴの病院に勤務する医師のエディス・ファンズワースのために作られた郊外の住宅で、ファンズワース嬢は川のほとりの自然の豊かな立地を、都会の喧騒から離れる場所として選択したようだ。今回も1時間半ほどのドライブで行くことができた。ファンズワース嬢とミースは竣工時には建物の予算等を巡って仲違いしてしまい、ミースが竣工後にファンズワース邸に訪れたことは一回もない。ファンズワース嬢はミースがデザインした家具を使うことを拒否して暮ら...11Jun2018
ユニティ教会シカゴの中心地から地下鉄で20-30分ほど移動した、オークパークという地域にある、フランク・ロイド・ライトが設計して1908年に竣工したユニティ教会に行ってきた。オークパークはフランク・ロイド・ライトが独立後に初めて事務所を設置した場所で、近くには自身の自宅兼スタジオや、設計を手がけた初期の住宅群がある。ユニティ教会は駅から10分ほど歩いたところにあった。シカゴの典型的な郊外住宅地の中にある地域の教会というような趣だ。宗派はキリスト教から派生したユニテリアン・ユニヴァーサリズムで、もともとそこにあった教会が火事で消失したことから、ライトに設計の依頼があったという。建物はそれなりに交通量のある交差点に面していて、外から見ると質素なコン...07Jun2018
GSDな自分3.0ボストンに来てから11ヶ月が経ち、留学もようやく折返し地点に到達した。ボストンの季節も長い冬がやっと終わり、春が急速に過ぎ去って一気に夏になった。1学期目は何もできなくて自分を責めすぎる傾向が強かったのだが、今は「まあ1学期目は仕方ないな」と思うようになった。1学期目と2学期目の違いを考えてみると、やはり英語で学習する環境への慣れだと思う。まず、リスニング力。1学期目は全然聞き取ることができなかった癖のあるクラスメイトのアクセントも、何を喋っているのかわかるようになったし、テレビのバラエティやドラマを見ていても(未だに字幕を表示して見てはいるが)以前よりもっと楽しい。リスニング力の向上を巷では「耳に穴が開いた」という表現をするらしい...31May2018
ハーバード大学デザイン大学院(GSD)への入り方前回のブログではGSDの特色やプログラムの種類について記述した(https://hk-gsd.amebaownd.com/posts/4264319)が、今回は受験方法について紹介したいと思う。受験といっても、日本の大学入試のように現地に受けにいく必要はない、書類選考方式だ。逆に言えば、提出した書類のクオリティでほぼ全てが決まるので、それをいかに充実されるかが鍵になる。注意書きになるが、GSDには社会人向けの1年コースなどは存在しない。どんなプログラムでも卒業に2年以上かかる。短期間でGSDをかじりたいのであれば、8月にある1か月のサマースクールを選択するのが良いが、学位をとれるわけではない。以下の記事はGSDのHP(http://...22May2018
ハーバード大学デザイン大学院(GSD)とはかの名門のハーバード大学で建築を学びたい!という時に入学を目指す先がGSD(Graduate School of Design)である。その一方で、GSDは単なる建築学校ではなく、デザインで何か面白いことをやりたいという人に広く開かれた学校である。15May2018