雪にも負けずボストンは寒い寒いと警告され続けてきたので、どれだけ寒いのかと冬の前からずっと気構えていたのだが、結論としてはやはり寒かった。2017年末に寒波が来た時は日中の最高気温が-10度を下回るのが普通。外出する時は太陽が出ている間にいかに用事を済ませるかということが至上命題だった。特に、-20度程度の気温の中で正面から風が吹いてくると、顔が痛くて本当につらい。日本にいた時は、ダウンジャケットのフードやその先端についているファーなどは装飾としか認識していなかった。しかし、ボストンではそれらはれっきとした防寒アイテムであり、使うだけでどれだけ暖かさが増すかということを身を持って実感することとなった。ボストンは公共交通期間が充実していてコンパク...01Mar2018
都市のグリッドの研究今学期はジョアン・バスケッツという都市デザイナー・建築家の授業をとっている。HarvardのGSDには都市デザインにおいてビッグ・スリーとでも言うべき教授陣(皆70才以上)がいて、アレックス・クリーガー、ピーター・ロウ、そしてスペイン出身のジョアン・バスケッツだ。バスケッツバルセロナオリンピックのマスタープランなどにも関わっていて、現在の専門は都市のグリッドの研究である。グリッドというと日本では正直リアリティを感じにくい。日本の大都市は城下町をベースにした構造を持っていることが多く、グリッド状の都市もとい碁盤の目の都市と言えば、京都や札幌などが頭に浮かぐらいだ。なので、日本での授業ではグリッドという視点の説明をあまり聞いたことがなか...24Feb2018
ロゴ社会とハーバード・ブランドアメリカなにしろロゴの多い国だ。ロゴ社会だ。学生はロゴが入りの服を着ている人が多いし、ラップトップに何かのロゴをペタペタ貼り付けるのも好きだ。個人的に面白いと思ったのが、街中やビルの中で作業をしているような人は全てロゴ入りの何かを着ていて、それでその人の役割がわかることだ。清掃している人ならxx Serviceと書いてあるし、庭を整える人たちはxx Landscapeとか書いてあるトラックで来るし、建物の中で補修作業をしている人のTシャツを見れば、ああこの人はカーペット屋さんなんだなとかがわかる。日本だと制服の文化が発達はしているが、街中で作業している人たちが何かをしているんだろうけれども、何をしているのかはその分野に精通していない...19Feb2018
東京(日本)だと無意識に消費するものボストンは物価が高いし「何でこんなものにこんな値段を払わなきゃいけないわけ?日本だともっと安いのに。。」と思うことが何度もある。そういうものを買いたくないので、逆に節約をするし、高い値段を払ってでも買ったものは大事に使い、消費をする。そんなことを半年続けた後に先日帰国した際、日本で何の疑問も感じずに消費していたものに逆に気付かされることになった。下記にとりとめもなく列挙するが、これらの商品を供給するのがほぼ例外なく大企業なのは、それだけ日本の中で当然のものとして、無意識に消費されるからだろう。01 電車代東京エリアは世界の都市に類を見ないほど鉄道の密度が高い。ダントツで発達しているので、他国から「東京をモデルにしよう」なんて思っても...14Feb2018
上っ面の美学「上っ面の美学でものを作っちゃいけないよ」という言葉は、新建築の元編集部の橋本さんにアメリカに行く前の送別会で言われたことだ。この「上っ面の美学」というキーワードはアメリカに来てからひしひしと、とても興味深く感じる。日本(東大)の建築教育と、アメリカ(GSD)の建築教育には共通点もあれば相違点もある。共通点はプロジェクトの社会性を大事にし、ロジカルなアプローチでデザインを行うことだ。相違点は、日本の講評会においては建築の空間的な面白さが重視され、アメリカにおいてはプロジェクトをどのように語ることができるがが重視されることだ。そのため、日本ではプロジェクトについて語るのが上手くなくても、空間的に面白さ・可能性があれば議論が盛り上がるし...05Feb2018
企業留学の2つのかたち先日、企業留学について短い文章を書いてくれと頼まれたことがあった。確かに、建築設計分野での企業留学はとても少ないので、自分に役割が回ってきたのも納得できる。GSDの教授陣によれば、日本からの企業留学は80-90年代のバブル時期にとても多かったという。一方で、今年度GSDに入学した日本人は私を含めて2人しかいない。GSD全体で日本人学生は7~8人ほどいるが、その中で企業留学制度を使っているのは私1人だ。他の学生は奨学金か私費である。企業留学には2つの形がある。1つ目は客員研究員としてどこかの研究室に所属し、専門分野の理解を深めるもの。2つ目は私のように一般受験を経て修士・博士課程に入学し、学位を取得するものだ。前者の方が企業におけるい...30Jan2018
シネティカ・ナシオナル年末のメキシコ旅行の中で印象的だった建築がミチェル・ロイキンドによるシネティカ・ナシオナルだ。建物のプログラはいわゆる一般的なシネマコンプレックスで、レストランや本屋も併設している。日本のシネコンはショッピングモールの中にあるのが普通で、建物として面白いということは特にない。映画館ごとに運営会社があり、それぞれのブランドイメージのもと内装も統一されている。シネティカ・ナシオナルが特別なのは、映画の待合所や店と店となどのいわゆる共用部という空間が、全て半屋外になっているということだ。そこは三角格子の屋根で覆われていて、中心にはメインの動線や広場、ランドスケープが集約されている。その周りは、屋外型のシアターだったり、オフィスだったり、低...24Jan2018
GSD Japan Trek 2018今年の年始はJapanTrekという試みを初めて行った。Trekというのは休暇中のアメリカ国外への研修旅行のことで、ChinaGSDやLatinGSDなど、GSDの各国の留学生の団体が企画する。Trekでは、GSDがやっていることに関係があるような企業訪問をするのが主流だ。建築事務所、ディベロッパー、テック企業など行く先は様々だ。学生側の参加するメリットはといえば、行き先の国に元々興味があり、どうせ行くなら観光だけじゃなくて有名建築事務所も行ってみたい、夏のインターン先を探したいなどなど。主催の団体によってはTrek自体にスポンサーがついている場合もあり、宿泊費や交通費が補助されることもある。JapanGSDがTrekを主催するのは...16Jan2018
アルベルト・カラチの建築年末にメキシコシティ及び周辺の都市を旅行したのは、アルベルト・カラチの建築に憧れていたのが大きな理由だ。MADでのインターン中に、建築に周辺の自然がうまく取り込まれた建築のリサーチをしていた時に、彼の作品であるカサ・ネグロに出会った。一つの住宅の中に生活の行為と自然の多様な関係性がデザインされていて、心底感銘を受けたのを覚えている。カラチのデザインしたものを心行くまで体験したかったので、Airbnbで泊まれるところがないか探してみた。するとReforma 27という高層マンションの部屋に泊まれることがわかったので、即予約をして、8日間はそこに泊まった。ホテルとかではなく、普通は入れない個人住宅も楽しめるのがAirbnbのとても良いと...13Jan2018
アブソルート・タワーズ年始はJapan TrekというGSD学生向け東京ワークショップツアーに主催者側として参加することになった。フライトは単純に価格が安かったので、エアカナダによるトロント乗り換えのフライトにした。だが、乗り換えにしたのがあまり良くない選択だった。出発の日にはボストンに寒波が来ていた。そのせいでボストンからトロントへ向かう飛行機が1時間半ほど出発が遅れ、乗り換えの時間がもととと短かったのもあり、見事に乗り遅れてしまったのだ。トロントから東京への飛行機はもちろん1日に1便しかないので、プラス24時間をトロントにて待機することになった。もちろんエアカナダには、空港周辺のホテルに無料で泊まらしてもらえた。どうしようかと考えるうちに、トロントに...07Jan2018
GSDな自分 2.0GSDでの最初の学期が終わった。感想は、なんとか生き抜くことができたということに尽きる。こちらに来る前は「GSDと言っても学生だし、日本の仕事に比べれば楽だろう」と考えていた。現実は「生き抜く」という言葉を使ってしまうぐらいだった。前のブログでも書いた通り、チームメイトのおかげで大丈夫だったという感覚が強い。一学期を通して見えてきた自分の至らない点は何か。まず、英語力の絶対的な不足。次に、企業勤めの間に染み付いた、時間内に無難に完成させるという体質。そして、人脈を広げる力の弱さである。英語力の不足が大きな足かせだ。人前で英語を話すことに慣れておらず、話しているうちに緊張してしまう。また、頭の中で自分の喋りたい内容が先走ってしまい、口...31Dec2017
自然史博物館のようなオブジェデジタルファブリケーションの授業である、ハイブリッド・フォーメーションの最終課題では、縦0.4m×横1.2m×高さ0.4mのオブジェを3人チームで作ることが求められた。今までの学期の中で学んだ3dsmaxによるモデリング技術と、供給された3Dプリンターを使いながら、コンセプトやテーマは自分たちで設定して、「Novel Form:新しい形」を追求する課題だ。最初はアートワークのリサーチから始めた。その中で興味を持ったのが(アートの基本なのかもしれないが)普段は当たり前のように見えているものの認識を変えてしまうものだ。その中で一番当たり前のように認識しているものは何かと考えた時、人間の体が一番そうなのではないか思った。人間の体そのものの...14Dec2017